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ただ、聞いたのは淳太なのに俺の方を向いて言っていたのが少し引っかかる。
変に勘違いするからやめてほしい。
もしかしたら神ちゃんは俺のことが、なんて思うが、ええメンバーやと言っていた流星を思い出し、頭をぶんぶんと振る。
勘違いしてはいけない。神ちゃんは俺を何とも思っていない。
「しげは?何か好きなタイプないん?」
「確かに。しげのそういうの聞かへんよな。」
「え、俺ぇ……?」
神ちゃんが好き、君が好きすぎてどうしようもない。
そう言いかけて慌てて口を噤む。
グラスの水を一口飲み、
「俺は、……自分の好きや格好良いを貫いてる人かな。」
これが俺の限界だった。
手汗が尋常ではない。好きだなんて言えるわけがない。
仮に言うとしても、もっと良い感じの所で言いたい。
「それこそ神ちゃんじゃない?」
「………は!?おま、は!?ちょ、え!?」
「そんな慌てんなって。なぁ?神ちゃん。」
俺の慌てっぷりにプルプルと肩を震わせながら笑いを堪えている彼。
意味が分からず、視線が淳太と神ちゃんを行き来する。
「しげ、俺さ、分かってたよ。」
「………かみちゃん?」
「俺に対するしげの気持ち。分かってた。」
「なんで?おれ、ずっとばれへんように、」
「分かりやすいもん、めっちゃ顔に出てた。」
可愛かったなぁ、と頼んでいた料理を平らげた彼。
淳太の皿ももう空だ。
「じゃ、ここからはお二人さんだけで。」
諭吉を数人置いて店を出た淳太。
二人だけの個室内。少し気まずさを感じていると、神ちゃんが口を開いた。
「流星使って探り入れてきたやろ?敢えてああ答えたんよ。」
「……なんで?」
「頑張ってるしげ、もっと見たかったから。」
「はぁ、もう。神ちゃん何で……。」
「ごめんなぁ。」
いやいや、笑ってる場合じゃないんですよ神山さん。
しかもスイーツまで頼もうとしてるし。いやええけど。
「今日ここに来てんのも、俺と淳太の罠に引っかかったってこと。」
「グルやったんか……!」
「でもちゃんと聞きたいな、しげの気持ち。」
「…………ここで?」
「うん、ここで。」
あかん、ゲボ出そう。緊張で。
「神ちゃん、神ちゃんが好き。その、俺と、付き合ってください。」
「ふふ、俺もすき。よろしくお願いします。」
満足そうに笑う顔は可愛い悪魔ちゃん。
もうスイーツとかええから帰って神ちゃん食べたい。
付き合ったし、ええよな?あ、おかえり、下心。
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かみ(プロフ) - 蒼乃碧さん» はじめまして!コメントありがとうございます^^ 初投稿なのでグダグダかもしれませんが、お時間があるときにでもまた読みに来てくださいね! (3月30日 21時) (レス) id: 39c448f8a9 (このIDを非表示/違反報告)
蒼乃碧(プロフ) - 初めまして!かみしげでシゲがこんなに可愛いの好きです!続き楽しみにしてます^_^ (3月29日 15時) (レス) @page3 id: d378d34ad2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かみ | 作成日時:2024年3月29日 8時